ノーディスカウント

2015年5月9日 2015年5月9日

jungle2021

島国日本の、ましてや地方中の地方の和歌山県であっても外国人をちらほら見かけるようになった。

中国韓国はいうに及ばず、インド人やアメリカ人なんかも見かける機会が増え、英語の一つでも話せたなら面白いんだろうなーと思う。

しかし、言語とは人間の主体の根幹であるらしく言語の取得は非常に難しい。

そもそも日本語を使い英語をマスターすることは不可能である。

英語力は英語を使い取得するのが理想的な勉強法であろう。

先日インド人らしいお客様がご来店され、洗濯機を買いたいと書いた紙を握りしめ身振り手振りで僕に伝えようとしていた。

英語は苦手ながら僕も必死で商品説明をした。

20~30分のコミニケーションにより、なんとか話が落ち着いたと思いきや、英語で値段交渉がスタートした。

商品説明ならまだしも、値段交渉となると文化の違いでジェスチャーだけでは本当に伝わらない。

俺はまいってしまった。

「急な値引きはうちは出来ない」

「ゴメンナサイ、ニホンゴワカラナイ」

僕らはただ茫然としていた。

すると遠くの方からコツコツと冷たい革靴の音が近づいてきた。

「ドゥーユースピークジャパニーズ？」

Ｙさんは堂々と登場した。

「おいらに任しとき！」

僕は感動した。

経緯を説明し、僕はその場から離れ別の作業にとりかかった。

英語が出来るってのは素敵なことだなーと噛みしめていると。

家電売場から大きな声が響きわたった。

「ノーディスカウント！！」

「ノーーディスカウント！！！！」

店内の全ての電子機器がフリーズした。

「ノーディスカウント！ノーディスカウントー！！！」

電線に止まっていた鳥の群れはいつの間にか、

まるで蜃気楼のように、

どこか遠く、誰も知らないどこか彼方へ消えてしまっていた。